「ガラスの動物園」を観ました…しん
実写映画「最終兵器彼女」の公開に関連する記事を流さないようにプライベートな記事を自粛していましたがそろそろのんびりと書かせていただきますね。映画を観てくださった皆さんありがとうございました。
昨日、新国立劇場に「ガラスの動物園」を観に行きました。
・作 :テネシー・ウィリアムズ
・翻訳 :小田島雄志
・演出 :イリーナ・ブルック
・キャスト
アマンダ:木内みどり
ローラ :中嶋朋子
ジム :石母田史朗
トム :木場勝己
ジム役の石母田さんは、このサイトに来てくださる皆さんならなじみのある役者さん。アニメ版「最終兵器彼女」シュウジを演じてくださった方ですが、本来声優さんではなく青年座の若手俳優さんです。その石母田さんが木内さん、中嶋さん、木場さんというキャリアのある役者さんとの四人芝居に共演なさるというお知らせをいただきとても楽しみにして観劇しました。
ガラスの動物園』は劇作家テネシー・ウィリアムズの出世作となり、1945年のブロードウェイの大ヒット・ロングラン以来、数ある彼の戯曲の中でも、世界中の観客から最も愛されてきた作品です。その魅力は演劇界にとどまらず文学作品としても高い評価と人気を誇っています。登場人物は4人。家族を執拗に愛し昔の夢を捨てきれない母アマンダ、内向的な姉ローラ、一家を支える息子のトム、ローラが憧れる青年ジム。舞台は彼らとの生活を回想する、トムの台詞から静かに始まります。このトムは作者自身の投影とも言われ、劇の進行役となって観客に自らの思い出を語りかけていくのです。
~新国立劇場サイトの紹介より
劇は四人芝居で舞台はアパートの一室のみというとてもシンプルな創り。それで二時間の劇をやるというので、素人考えで少し長いかなあと思って臨みましたが、気がつくと舞台に引き込まれ、あっという間に時が過ぎていました。
石母田さんにお席をお願いして役者さんの表情や舞台の全景も自然なよい席をいただいたのですが、それ以上に役者さんの存在感が軽やかで力強かった。力のある役者さんの演技は時をこえさせるのだと思いました。
石母田さんも長身を生かしたとても存在感のある動きでとてもいきいきした演技でした。上演後楽屋におじゃましてご挨拶させていただいたのですけど、本来のご自身とは全然違う役どころだとのこと。しかしそれを感じさせない生きた演技と感じました。ジムという役は木内さんを母親とする「ウィングフィールド一家」の夢であり、しかし現実でもある「青年紳士」。とてもシビアな役どころなのですが、ともするとジムという存在を、夢と現実のギャップを「嫌だ」「納得できない」と否定したくなるような展開、しかし石母田さん演じるジムという人の人間性が真っ直ぐで夢に向かっている空気を持ったものだったため、よりこの劇の持つ夢と現実の狭間に生きる人々を鮮明にさせたと思います。
常々思うのですがシュウジという役はいろんな意味で難しい役で、石母田さんも実写版の窪塚さんもとても窮屈な思いで演じてくださったのかなあと、原作者としてとても心縮まる思いでいるのですが、アニメも映画も賛否両論有りながらも多くの方に観ていただけたのは、役を引き受けてくださった役者さんの力があったのだと感謝を新たにしました。
話がそれましたが、ともすればパターン化した単なる夢想家で女に甘く嫌な奴と取られそうなジムという人を、そう言った短所を余りある、愛嬌があり、人に力を与え、真っ直ぐな青年と感じさせたのは演出家さんの力なのか、自分としては役者・石母田さんの愛すべき演技力とキャラクターにあるのだと思いました。いつの間にか、知り合いとしての石母田さんも、シュウジ役としての石母田さんも消えて、ただ、ジムという1人の演技者の姿を受け止めていました。クライマックスにあたるダンスシーンでは共演の中嶋さんの力もあいまり、楽しげなシーンなのにとても悲しい気持ちになった自分がいました。
忙しい中見てよかったなと素直に思える演劇でした。
公演は2月26日までですので、興味を感じた方は是非見に行ってみてください。
しん
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