メディアミックスに関するしんプレゼンツの立場



第一にしんプレゼンツ(以下シンプレ)は、漫画制作のための個人事務所でありそれに付随する諸作業(イラスト制作等)以外の制作機能を有しないことをご理解ください。

私たちにとっていちばん大事なのは自分たちの著作物ではなく、その読者であるとシンプレは考えています。
同時に、漫画制作事務所の目的は多くの方に作品を見てもらうことです。その目的において他メディア展開は有効であり、積極的に進めていくべきものだと考えています。
以上のことから他メディア展開で「私ども」がもっとも考慮すべき部分は、自著作物のイメージの保持ではなく、あくまで読者の皆さんの中にある作品のイメージの保持だと、シンプレは考えています。
もちろん読者の中にあるイメージをすべて満たすのにもっとも近いメディアは原作であり、他のメディアですべてを満たすことは不可能です。また、そのような(原作のコピーのような)方向性の他メディア作品などは作るべきではないと考えます。
以上のギャップを埋めるための一つの材料になればと、私たちは公式に近い場に「映像化アンケート」として読者の皆さんの声(web上だけなのでごく一部の方になってしまい十分とは言えないのですが)を総て掲示することと同時に他メディア制作側の方に、このアンケートに目を通すことを原作許可の条件の一つとして提示いたしました。

他メディアには他メディアにベストな表現があり、それを表現する以上そのプロフェッショナルの皆さんにお任せする以外に良作を作る道はあり得ません。
例として「最終兵器彼女」アニメ化においてシンプレおよび高橋しんが行ったことを以下に示します。

1. 原作終了まで制作、あるいは放映を待ってもらうこと。
2. 原作の他メディア化であること以上に、他メディアバージョン「最終兵器彼女」の表現したい部分を明確にしていただくこと。
3. かつ、原作の読者の中にあるイメージをいたずらに改変せず、悪い方向でのショックを与えないものであることを許されるかぎりの期間・段階においてチェックし、原作使用許可の是非を判断すること。
4. アニメ制作スタッフの方に、本ページの「最終兵器彼女映像化アンケート」に目を通していただくこと。
5. シナリオのチェック・修正(とりわけ登場人物の言い回しの修正)。
6. 絵コンテのチェック
7. キャラクター作画上の参考のためのキャラクター表の作成(シュウジ・ちせ)。
8. 制作スタッフとの補足的打ち合わせ。

一つだけ誤解していただきたくないのは、私どもは他メディア制作スタッフの方や、その企画に対して、前作「いいひと。」のドラマ化の時と同様に、「原作に忠実な作品」の要求は一切していないということです。忠実であるべきは原作のもつ「意志」であり、それをクリアーしたうえで、あくまで他メディア作家の皆さんが最も表現したい「しんプレの作品」を制作していただくことを、一貫して要求していることをご理解ください。その上でその表現に必要と要求されたオブジェクトに対してできるだけの協力をしていくというのが当事務所のスタンスです。
キャラクター表に関しましては当初アニメ作品としてのオリジナルなデザインを要求していましたが、原作にそった形でのデザインをアニメ制作サイドが選択したことから、参考になればという形で高橋が制作いたしました。あくまで参考程度のものであり、原作の絵をアニメに反映させるためのものではありません。

他メディア版「最終兵器彼女」は他メディア・スタッフの作品であり、当事務所はそれに関する問い合わせ等に対してはいっさいお答えできません。


今後のしんプレゼンツの円滑な作品製作のため、webページ運営のためご理解ご協力をお願いいたします。

2002.4 初出
2005.6 改稿
                                    しんプレゼンツ一同