真夜中の虹と光
どちらも、有り得ないもののたとえではありません。
今回私は「hikari」という歌詞を書かせていただきました。
ベースになった曲はOVA「最終兵器彼女」サントラの、戦場のちせをモチーフにした『破壊神の涙』という曲ですが、メールで送っていただいた曲データーにはただ一言「hakai」と言うファイル名が付けられていました。破壊。とても孤独な言葉です。孤独で寂しく暗い荒野をひとりぼっちで歩いてるちせが浮かびました。いや、ちせと言うだけでなく、例えば小さな子供でも、少女でも少年でも、私たち、他の世代の誰でも。破壊。そんな地平を歩く人は寂しい。救うのは誰なのだろうか、そう考えたときこの曲のテーマが生まれました。
光。
生まれながらにして光を持っている人はいない。人とともに生き、過ごしていく日常のすべての景色が、光景が、その光が人の救いになる。
破壊が日常の戦場でも、私たちが生きる社会でも、逃げずに現実を生きていく人の中には人それぞれに荒野はある。でも、それ故に光がある。
人の中でその景色を生きること。笑い、泣き、おこり、つまずいても。それがすべて私たちの光。
テーマに沿って「歌うための言葉」を選んで書くことは、やってみるととても難しく、自分の使える語彙の少なさにがっかりしたり冷や汗をかきながら、言葉を積み重ねていきました。そんな稚拙な詞を作曲の吉川慶さんと歌の麻倉あきらさんがとても厚みのある曲にしてくださいました。
故・井上大輔さんが残された「真夜中の虹」と言う美しい曲の、おなじCDのその横に「hikari」を加えていただいて嬉しく思います。ありがとうございました。
光を持つ沢山の人に聞いていただけたら、そう思っています。
高橋しん
*この文は徳間ジャパンン様から発売中の「真夜中の虹〜everlasting love〜/麻倉あきら」に収録されたコメントです。
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